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第 9 章

2時限目 ケトジェニックダイエットと心血管疾患

田中博士 著 · 🔒 50%無料公開 (続きはプレミアム会員)
0. 0時限目 体に老廃物が溜まると高血圧になりやすい 1. 1時限目 食物繊維は体の老廃物を除去し血圧を下げる 2. 2時限目 ケトジェニックダイエットと心血管疾患 3. 3時限目 ケトン食の臨床研究 - 血圧低下を裏付ける4つの論

田中博士 それでは今日はケトン食を通して血圧が正常化されたいくつかの研究論文を見ていきましょう。まず見ていく論文は「ケトジェニックダイエットと心血管疾患[50]」です。ケトジェニックとは「ケトン体を作る」という意味があります。この研究では、ケトン食が心血管疾患に有益な効果について、多様な先行研究の結果を提示し整理しています。著者らはケトン食が4つの効果で心臓保護機能を持つとしました。第一に、ケトン体自体の抗炎症効果、第二に、糖分減少による抗炎症効果、第三に、炭水化物制限による抗炎症効果、第四に、豊富なオメガ3脂肪酸摂取による抗炎症効果です。

続いて著者らは、血管内皮細胞の健康にケトン食が有益な理由を9つ挙げました。血管は中央が空いている一種の管と言えます。ところでこの管は多様な細胞層で構成されています。そしてこれらの細胞層のうち血管内皮層の細胞は、血管の内膜を成し、血液と直接接する細胞です。これらは弾力性があり、状況に応じて伸びたり収縮したりします。つまり血管内皮層は血液の流動性、流れ、血管緊張度を調節することで血圧にも影響を与えます。もし血管内皮細胞がオメガ3脂肪酸欠乏になれば収縮伸長が難しくなり硬直する可能性がありますが、そうなると小さな血圧変化にも収縮がうまくいかず、血管が破裂するなど身体は大きな影響を受けかねません。

ところがケトン食は血管内皮細胞にエネルギー供給を円滑にしてくれ、血管内皮細胞の機能を改善し、機能が円滑になるよう助けます。そしてケトン体は炎症を抑制する抗炎症効果があり、一酸化窒素合成酵素の活性を増加させることで血管弾力性を増加させます。血管に炎症が生じるとプラークが生じて血管が詰まり硬直してしまうのです。ケトン体がこれを防ぐことになるのです。それだけでなくケトン体は血管内皮細胞の早期老化を防止します。そして炎症活性を抑制し、炎症関連遺伝子の発現を抑制します。血糖を下げ、糖化ヘモグロビンも減少させることで血管内皮細胞を保護します。

FIGURE
図9-1. ケトン食の多様な経路の血圧正常化効果
中央:ケトン食 → ケトン体増加 / インスリン減少 / グルカゴン増加 / 体重減少。各経路から:TLR4刺激抑制、NLRP3炎症性複合体抑制、炎症性サイトカイン抑制(TNF-α, IL-6, IL-12, IL-1)、抗炎症性サイトカイン増加(IL-10)、マクロファージ活性減少などへ分岐。
※ ここにケトン食の血圧正常化経路ダイアグラム(フローチャート/概念図)を挿入予定

山田佳子 糖化ヘモグロビンは赤血球に糖が付いていることだと知っています。ところで糖化ヘモグロビンが多いと血圧が高くなるのですか?

田中博士 はい、良い質問です。まず糖化ヘモグロビンについて調べた後、高血圧との関係をご説明します。人体の細胞は50兆個と言われますが、このうち半分は赤血球と言えます。赤血球の寿命は90日から120日です。ところで赤血球細胞1個には、ヘモグロビンという分子が10万個ほどあると言われます。

肺胞でヘモグロビン分子1個は酸素4分子と結合して、末梢細胞に酸素を届けます。つまり赤血球1個は40万個の酸素分子を運ぶわけです。ところで血液内の血糖が高くなると、酸素と結合すべきタンパク質であるヘモグロビン分子が糖と結合し、糖化ヘモグロビンと呼びます。赤血球は90日から120日の寿命が尽きるまで糖化ヘモグロビンを持つことになります。このため食事状態に関係なく、糖化ヘモグロビンは3か月の平均的な血糖状態を知ることができるのです。

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