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第 5 章

2時限目 中鎖脂肪酸の吸収経路・HDL/アルブミンとMCTケトン食

田中博士 著 · 🔒 50%無料公開 (続きはプレミアム会員)
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鈴木美咲 ところで私がインターネットを少し検索してみたのですが、ケトン食では中鎖脂肪酸を多く使用するようでした。ニューヨーカーがたくさん飲むという防弾コーヒーもコーヒーに中鎖脂肪を5グラムほど乗せて飲むんですって。飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸はたくさん聞きました。そしてオメガ3脂肪酸が炎症を抑制し、一方オメガ6脂肪酸は炎症を促進する脂肪酸だということも知っています。しかし中鎖脂肪酸がなぜ多く使用されるかについて知ることができるでしょうか?

中鎖脂肪酸は毛細血管と門脈を通じて肝臓へ行ってすぐに利用される

田中博士 良い質問です。中鎖脂肪酸において「中」は「中間の長さ」という意味で、「鎖」は「鎖(くさり)」という意味です(図5-3)。ですから中鎖脂肪酸は中間の長さの炭素を持つ脂肪酸という意味になります。

山田佳子 中間の長さを持っているというのはどういう意味ですか? 短いものもあれば長いものもあるということでしょうか?

田中博士 そうです。脂肪酸はまるで長さの違う鎖のようにできていると考えることができます。別の比喩を挙げると、脂肪酸はビーズが連結されたネックレスと考えることもできます。ネックレスを構成するビーズを炭素と考えることができます。ところでビーズの数、つまり炭素数によって3種類に分けることができます。炭素数が2個から4個の間を短鎖脂肪酸、炭素の個数が6個から12個の間を中鎖脂肪酸と言い、14個以上を長鎖脂肪酸と言います。中鎖脂肪酸はココナッツオイルやパーム油に豊富です。

山田佳子 炭素数によって脂肪酸を3種類に分けた特別な理由があるのでしょうか?

田中博士 重要な質問です。脂肪酸の長さによって非常に重要な違いがあります。最も大きな違いの一つは消化管での吸収経路が異なるということです。短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸は消化管の毛細血管を通じて吸収されます。そして続いて門脈を経由して肝臓へすぐに移動します。吸収された後は直接肝臓で代謝されるため、人体に非常に優れたエネルギー源として作用し、ケトン食で特に効果があると知られています。一方炭素数が14個以上の長鎖脂肪酸は消化管のリンパ管を通じて吸収されます。続いて胸腺を通じて末梢血管に移動します(図5-3、図5-5)。これによって一度に過剰に摂取すると血管の中を漂いながら血液の流れに負担を与えることになります。

FIGURE
図5-3. 短鎖、中鎖、長鎖脂肪酸の種類と吸収経路
短鎖脂肪酸(C2-C5: 酢酸C2/プロピオン酸C3/酪酸C4) → 毛細血管 → 門脈 → 肝臓 (腸内有益菌が食物繊維を分解して供給) | 中鎖脂肪酸(C6-C12: カプリル酸C8/ラウリン酸C12) → 毛細血管 → 門脈 → 肝臓 (食物の中性脂肪由来) | 長鎖脂肪酸(C13-C21: パルミチン酸C16/ステアリン酸C18) → リンパ管 → 胸腺 → 末梢細胞 (グリセロール → 脂肪酸)
※ 後で吸収経路の概念図を挿入予定

佐藤恵子 中鎖脂肪酸はパーム油やココナッツオイルに多いとおっしゃいましたが、そうすると長鎖脂肪酸と短鎖脂肪酸はどのような食べ物に多いですか?

田中博士 長鎖脂肪酸は私たちが普段食べる食用油に多く、短鎖脂肪酸は私たちが摂取する食物繊維を腸内有益菌が分解して私たちの体に供給してくれます。ある学者は原始時代に食物繊維が私たちが摂取する食べ物の20%程度だったと言います。つまり、原始時代には私たちはカロリーの20%程度を腸内微生物が供給してくれる短鎖脂肪酸を通じて供給を受けていたと考えることができるのです。

鈴木美咲 そうすると原始人は実質的にケトン食をしていたと言えますね。

田中博士 そうです。特にアメリカインディアンを研究したある資料によると、冬に食べるものがないとき貯蔵されたピーカンを食べながら3ヶ月以上過ごしたそうです。インディアンだけでなく多くの地域で寒い冬には貯蔵された豆だとかくるみ、松の実など多様なナッツ類を主食にして過ごしながら、自然に植物性ケトン食をしていたのではないかと思います。

佐藤恵子 HDLコレステロールは良いコレステロールで、LDLは悪いコレステロールと言いますが、なぜそうなのですか?

田中博士 リポタンパク質という概念を知るといいです。水と油は混ざりませんよね。それでタンパク質が脂肪の周りを覆わなければなりません。タンパク質とリン脂質が外側を覆い、中に中性脂肪とコレステロールがあるのをリポタンパク質と言います。小腸で脂肪酸とグリセロールを吸収して再び中性脂肪にした後にカイロミクロンという構造を作ります。カイロミクロンは内部に中性脂肪とコレステロールが多くあり、外側に水溶性タンパク質があります(図5-6、表5-1)。

佐藤恵子 一種のトラックのようなものですね。

田中博士 はい、その通りです。運送手段と言えます。それにカイロミクロンはリンパ管を通じて移動して胸腺を経由して末梢血管に行きます。末梢血管を巡りながら細胞たちに中性脂肪を分け与えるのです。するとカイロミクロンがだんだん大きさが小さくなり、それをカイロミクロン残遺物と言って肝臓に移動します。肝臓でも超低密度リポタンパク質(VLDL)を作るのですが、カイロミクロンと構造が同じです(図5-7)。ただ大きさはカイロミクロンより少し小さいです。VLDLは血液を通じて移動しながら栄養素が必要な末梢細胞に中性脂肪を分け与えます。するとだんだん大きさが小さくなってLDLになって再び肝臓に戻ります。

佐藤恵子 そうするとHDLが良いコレステロールという話はなぜですか?

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