3時限目 ケトン食の長期効果と腹部肥満改善
「肥満患者におけるケトン食の長期的効果」
田中博士 次に見ていく論文は「肥満患者におけるケトン食の長期的効果[44]」です。この研究は24週間にわたるケトン食を行った試験です。体重1kgあたりタンパク質1gを含み、1日の炭水化物は30gとし、残りは脂肪としました。脂肪のうち20%は飽和脂肪、残り80%は不飽和脂肪です。被験者は計83名の肥満者で、男性39名、女性44名でした。
表8-2のように男性の平均年齢は42.6歳、女性は40.6歳でした。体重平均は男性が102.4kg、女性が99.8kgでした。図8-3(a)に示すようにBMIは男性平均35.9、女性39.4でした。
| 性別 | 人数 | 年齢 | 身長 | 体重 | BMI |
|---|---|---|---|---|---|
| 男性 | 39名 | 42.6±1.7 | 170±1 | 102.4±3.7 | 35.9±1.2 |
| 女性 | 44名 | 40.6±1.6 | 160±1 | 99.8±2.9 | 39.4±1.0 |
血液指標を見てみましょう。図8-3(b)のように、ケトン食を始める前は善玉コレステロールであるHDLが1.15mmolでしたが、ケトン食後には1.4まで増加しました。図(d)では悪玉コレステロールであるLDLコレステロールは4.1から24週後に3.4へ減少しました。図(c)で総コレステロールは初期5.4mmolから24週後に4.8mmolへ減少しました。図8-4(a)では中性脂肪も最初の2.75mmolから24週後に1.25へ減少しました。
(a) BMI (kg/m²): 38 → 34 → 33 → 32
(b) HDL (mmol/L): 1.15 → 1.18 → 1.36 → 1.36 ↑
(c) 総コレステロール (mmol/L): 5.4 → 4.8 → 4.9 → 4.78
(d) LDL (mmol/L): 4.1 → 3.55 → 3.45 → 3.35
図8-4(b)では尿素は5μmolから24週後4.8とほぼ変化はありませんでしたが、8週時に6.1まで増加した後減少する動きを示しました。血糖は初期7.25mmolから24週後5.75mmolへ減少しました。図8-4(d)ではクレアチニンが初期71mmolから24週後に84mmolへ増加しました。これは動物性食品でケトン食を行ったためと推定されます。クレアチニンは筋肉で合成されるため、肉類摂取が多くなるとクレアチニン値が高くなり得ます。したがって、もし植物性食品でケトン食を行えば、クレアチニンは上昇しなかったと考えられます。
(a) 中性脂肪 (mmol/L): 2.75 → 1.6 → 1.3 → 1.1
(b) 尿素 (mmol/L): 5.0 → 6.1 → 4.5 → 4.4
(c) 総コレステロール (mmol/L): 7.25 → 5.85 → 5.55 → 5.6
(d) クレアチニン (mmol/L): 70 → 71 → 76 → 84 ↑(動物性ケトン食)
体重 (kg): 101 → 91 → 89.5 → 87 (24週で約14kg減少)
鈴木美咲 色々な意味で植物性食品にはメリットがあるようですね。
「過体重/肥満の中国の若年女性において、短期間のケトン食は腹部肥満を改善する」
田中博士 最後の論文をご紹介します。これは腹部肥満のある若い女性を対象に短期間のケトン食を行った研究です。題名は「過体重/肥満の中国の若年女性において、短期間のケトン食は腹部肥満を改善する[45]」です。この研究は平均年齢21歳の若年女性を対象に、4週間(28日間)の一般食を行った後、再度4週間(28日間)のケトン食を行いました。
実験結果は図8-6(a)に示すように、一般食よりケトン食の方が摂取エネルギーが少なくなりました。図(b)では炭水化物比率がケトン食でより少ないことが分かります。(c)ではタンパク質摂取量はケトン食の方が多く、(d)ではケトン食の方が脂肪摂取量が多かったことが分かります。
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