1時限目 自由摂取の高タンパクケトン食が肥満男性に及ぼす影響
「自由摂取とした高タンパクケトン食が肥満男性の空腹感、食欲および体重減少に及ぼす影響」
田中博士 最初にご紹介する論文は「自由摂取とした高タンパクケトン食が肥満男性の空腹感、食欲および体重減少に及ぼす影響[42]」です。この研究の設計は、食べる量は本人の意思に任せて自由に摂取させ、栄養素の比率だけ脂質を多くしたケトン食を提供するというものです。平均年齢38歳、17名の肥満男性に対し、タンパク質を30%と高めにし、2種類の食事を提供しました。30日間は4%炭水化物のケトン食を行い、続く30日間は35%炭水化物の食事に切り替えるクロスオーバー試験を行いました。
鈴木美咲 先生。一つの実験群で時間差を置いて食事を切り替えるクロスオーバー試験を行う理由はあるのですか?
田中博士 はい。クロスオーバー試験は、各被験者がそれ自身で対照群となるため、必要な被験者数を減らせる利点があります。つまり、一つのグループに対し2種類以上の食事を比較評価することで、より正確な結果を推定できるのです。
鈴木美咲 なるほど、被験者が異なることによる誤差を減らせると理解できますね。もう一つ質問よろしいですか。食事量は一定に決めるべきではないのでしょうか?こうやって自由に食べさせる理由はあるのですか?
田中博士 良い質問です。食事量を自由に決めさせた理由は、食事ごとに満腹感が異なる可能性があるためです。そしてそれによって、食事ごとの摂取量に応じた満腹感を推定することができます。
鈴木美咲 ああ、なるほど。ありがとうございます。
田中博士 それでは続けましょう。実験結果は図8-1(b)のように、4%炭水化物のケトン食グループの方が35%一般食の場合よりカロリー摂取量が低くなりました。お腹の空いた感覚を表す空腹感の平均も、一般食よりケトン食が低い値を示しました(c)。主観的満足度である幸福感は、むしろ一般食よりケトン食の方が高い値となりました(d)。
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