1時限目 ケトン食は脳血流と神経血管機能を改善する
★ 紹介論文
Ma, D. et al. (2018). Ketogenic diet enhances neurovascular function with altered gut microbiome in young healthy mice. Scientific Reports, 8, 6670.
「若い健康なマウスにおいてケトン食は腸内細菌叢を変化させ神経血管機能を改善する」
田中博士 まずご紹介する内容はネイチャーに掲載された実験です。2018年に掲載されたこの研究のタイトルは「若い健康なマウスにおいてケトン食は腸内細菌叢を変化させ神経血管機能を改善する[33]」です。インターネットでタイトルを検索すれば、誰でも原文をご覧いただけます。
(全員) 皆熱心にメモを取りながら整理している。
田中博士 神経細胞に栄養と酸素を供給する血管は、認知能力と精神健康に決定的な役割を果たします。ご存じのように脳は体重の2%にしかなりませんが、酸素と栄養素は20%も使用します。それを可能にしているのがまさに脳血管です。脳血管を撮影した写真を見ると、本当に密にきめ細かい血管が脳をぎっしりと満たしているのが分かります。脳は特定の領域ごとにそれぞれ異なる機能を担っています(図6-1)。したがって特定部位の血管に問題が生じると、関連する機能が損傷されるのです。そして血管に問題が生じると、気分や情緒的にも問題が生じる可能性があります。不安、うつ、認知症などが特に脳血流減少と関連があると報告されています。
山田佳子 博士、脳血管が脳の機能と感情、情緒に影響を与えうるということはよく分かりました。それでは、どのような原因で脳血管に問題が生じるのか気になります。
田中博士 はい。当然続く疑問だと思います。実は脳機能に問題が生じる原因は多様なのですが、代表的なものとしては脳炎症、外部衝撃によるシナプス損傷、遺伝による神経の構造などが含まれます。
小林春子 それでは、ケトン食がこのような多様な原因によって発生した脳血管の問題に肯定的な結果を示すということですね?
田中博士 はい。そうです。紹介した研究を続けてご説明します。この研究はマウスを用いた動物実験です。一つのグループにはケトン食を提供し、対照群には通常食を提供しました。各グループ9〜10匹のオスマウスを使用しました。ケトン食は脂肪が75.1%、タンパク質8.6%、繊維素4.8%、炭水化物3.2%でした。対照群である通常食は、炭水化物が65.2%、タンパク質18.1%、脂質は4.8%、繊維素が2.9%でした。それでは、ここで質問させていただきます。ケトン比は分子に脂質カロリー、分母に炭水化物とタンパク質を合わせたカロリーを置くと申し上げました。ケトン食グループのケトン比と通常食グループのケトン比はそれぞれいくらでしょうか?
佐藤恵子 (手をさっと挙げて)はい!ケトン食では脂肪が75.1%で、タンパク質8.6%と炭水化物3.2%を合わせると11.8になります。それで75.1割る11.8をすると、おおよそ6.3が出ます。この研究におけるケトン食のケトン比は6.3です。
鈴木美咲 通常食は私が言いますね^^(全員笑い)通常食では炭水化物の65.2とタンパク質の18.1を足すと83.3になります。脂質の4.8割る83.3をすると0.09になります。ところで、これはとても小さい値のようなのですが。
田中博士 よくできました。お二人とも正解です。鈴木先生が0.09はとても小さいとおっしゃいましたが、この実験で提供された通常食の0.09は、実際に私たちが日常的に食べる食事のケトン比と同じです。普通0.08程度なので、ほぼ同じ値です。
鈴木美咲 わぁ〜本当ですね。こうして計算してみると、私たちが日常の食事で本当に炭水化物をたくさん食べているのが実感できますね。考えてみると本当にパン、お菓子、餅、ラーメン、ご飯、麺類など、私が食べている食品のほとんどが炭水化物ですね。
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