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第 12 章

2時限目 関節炎の種類とケトン食の抗炎症メカニズム

田中博士 著 · 🔒 50%無料公開 (続きはプレミアム会員)
0. 0時限目 炎症は90%の病気と関係している 1. 1時限目 抗酸化物質とケトン食は炎症を緩和する 2. 2時限目 関節炎の種類とケトン食の抗炎症メカニズム 3. 3時限目 臨床研究が示すケトン食の関節炎改善効果

関節の炎症はさまざまな原因が免疫細胞を刺激して発生する

田中博士 はい、そのとおりです。関節炎は種類が非常に多く、変形性関節症(骨関節炎)、関節リウマチ、痛風、強直性脊椎炎、ループス関節炎、感染性関節炎、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、線維筋痛症などがあります。もっとも多く見られるのは変形性関節症・関節リウマチ・痛風です。変形性関節症は弾力性を失いながら硬くなり、靭帯がゆっくりと損傷を受けていく過程です。こうなると衝撃を適切に吸収できなくなります。靭帯が伸びると痛みが起こります。

田中博士 私たちにとって馴染み深い関節リウマチは、滑液で発生する自己免疫疾患です。免疫細胞が自分自身を攻撃することによって、腫脹・疼痛・形態変化・こわばりが現れます。男性より女性に3倍多く発生します。朝起きたときに関節がこわばりますが、これは関節に炎症が起きて腫れているからです。炎症のためにリウマチ患者は疲れやすくなります。

田中博士 痛風は足の指のような骨の関節に炎症が起こるものです。男性に多く、痛みも激しいです。尿酸が関節に蓄積して炎症が起こります。このほかにもさまざまな関節炎がありますが、その多くは誤った生活習慣、特に食べ物と関係しています。

📑 論文① 「リウマチ性疾患患者の炎症性関節炎と心血管健康に対するケトジェニック食の効果 ミニレビュー」

"The Effect of Ketogenic Diet on Inflammatory Arthritis and Cardiovascular Health in Rheumatic Conditions: A Mini Review" [68]

田中博士 さまざまな関節炎がありますが、今日はいくつかの代表的な関節炎を対象に、ケトン食の肯定的な効果をみていこうと思います。まず取り上げる論文は "The Effect of Ketogenic Diet on Inflammatory Arthritis and Cardiovascular Health in Rheumatic Conditions: A Mini Review" です。日本語では「リウマチ性疾患患者の炎症性関節炎と心血管健康に対するケトジェニック食の効果 ミニレビュー[68]」という論文です。この研究では、ケトン食の関節炎改善効果の理由を次のように説明しています。

田中博士 まず、私たちが炭水化物を過剰摂取すると、インスリンが分泌されますが、インスリンは免疫細胞に対して炎症性物質を放出するよう促します。したがって、炭水化物を制限することでインスリンの放出を減らすケトン食は、関節炎の改善に役立ちます。また、ケトン食をするにつれて増加するケトン体は、それ自体が炎症を抑制する効果を持ちます。ケトン体は、トル様受容体4(TLR4)という単球(免疫細胞)上の受容体を抑制します。そしてケトン食は自然に体重を減少させますが、体重減少は炎症を減らすうえで素早い効果を持ちます。

FIGURE
図12-1 ケトン食の抗炎症・心臓予防能力のメカニズム

ケトン食の抗炎症・心臓予防能力を支える4つの経路を示す概念図:

  1. ケトン体による抗炎症・心臓予防能力 → インフラマソームNLRP3減少 → 炎症性指標減少
  2. 糖の減少による抗炎症・心臓予防能力 → 糖化ヘモグロビン減少 → 炎症性指標減少
  3. オメガ3脂肪酸による抗炎症・心臓予防能力 → 生化学指標改善 → 炎症性指標減少
  4. 炭水化物制限の抗炎症・心臓予防能力 → 炭水化物減少 → 炎症性指標減少
📌 ここに4経路フローチャート図を挿入予定

田中博士 ケトン食をするとインスリンは減少する一方、グルカゴンというホルモンは増加します。グルカゴンは樹状細胞という免疫細胞に作用することで、炎症を抑制するシグナルを送ります。

田中博士 この論文は、断食・オメガ3脂肪酸・ビタミンD3などが関節リウマチの症状を改善させたと報告しています(図12-1)。植物性ケトン食は断食と同様の人体生化学的組成をつくり出します。そして植物性ケトン食の主要食品である豆・ナッツ類・種実類は、炎症を抑える必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸が豊富です。

炎症を抑えるオメガ3脂肪酸の摂取はえごまを活用する

佐藤恵子 オメガ3脂肪酸が良いという話はよく聞きました。私の友人は魚から作ったオメガ3の魚油を飲んでいて、私にも勧めてくれました。

田中博士 はい。オメガ3脂肪酸は抗炎症効果を持つ必須脂肪酸です。一般的に、オメガ6は炎症促進効果を、オメガ3脂肪酸は抗炎症効果を持つとされています。そのため食事ではこれらを1対1ないし3対1の比率で摂取することが推奨されます。ところが現代人はオメガ6脂肪酸をオメガ3脂肪酸に比べて15倍ないし20倍も多く摂取していると報告されています。

佐藤恵子 なるほど、それで最近の現代人にさまざまな炎症の問題が起きているのですね。それなら、なぜオメガ6脂肪酸をこれほど多く食べることになっているのか気になります。

田中博士 オメガ6脂肪酸を過度に摂取する主な原因は大きく2つあります。ひとつは食用油の過剰使用、もうひとつは肉類の摂取によるものだと報告されています。

鈴木美咲 それでは博士、オメガ3脂肪酸が多い植物はあるのでしょうか? オメガ3脂肪酸は青魚にしかないのではないでしょうか?

田中博士 いいえ。これは一般の方々が大いに誤解されているところですが、必須脂肪酸は植物だけが合成できます。青魚にあるオメガ3脂肪酸は、植物にあるものを動物が体内に貯蔵しているにすぎません。ご存じのとおり、最近は海洋の汚染が深刻だと言われています。重金属や、最近ではマイクロプラスチックの問題まで取り沙汰されています。ですから安全にオメガ3脂肪酸を摂取するなら、植物性食品を活用するほうがよいのです。オメガ3脂肪酸が豊富な食品はえごまです。えごま100gにはオメガ3脂肪酸がなんと63gも含まれています。1日に大さじ2杯のえごまを食べれば必要量を補えるのです。

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