1時限目 抗酸化物質とケトン食は炎症を緩和する
抗酸化物質とケトン食は炎症を緩和する
田中博士 もうひとつあります。それが今日ご説明するケトン食です。ケトン食はさまざまな炎症の改善に優れた効果があります。これは私自身が経験したことなのですが、実は私は子どもの頃から、暑い夏になるといつも背中に炎症ができていました。熱が高くなると炎症反応が増えるようでした。また、脂っこい食事を数日続けて食べていると、背中に炎症がたくさんできることもありました。それで、ひどいときは背中が赤くなって腫れ、痛みもひどくなりました。背中が痛くなると心臓のあたりも一緒に痛く感じられるんです。とにかく数十年間、毎年夏になるとそうやって苦労していたのですが、ケトン食をしてからは嘘のように、見事に背中の炎症が消えてしまいました。そして油断して炭水化物の多い食事を数日食べていると、また背中の炎症がひどくなり、再びブルーベリーを食べて炭水化物の摂取を制限すると炎症が消えていきました。しかも、これは私個人の経験にとどまるものではありません。多くの科学的研究がケトン食の炎症改善効果を報告しているのです。それだけでなく、ブルーベリーがケトン体の生成を助けるという研究もあります。
鈴木美咲 わぁ〜、私の好きなブルーベリーにいろいろな効果があったんですね。どうりで、ブルーベリーを食べた日は体のコンディションが良いような気がしていました。今日の授業はとても重要になりそうです。
田中博士 はい。続けて、炎症を引き起こすさまざまな要因を少しみていきましょう。人体に損傷を与える対象は、生物学的病因・物理的病因・化学的病因・組織の壊死などさまざまですが、炎症反応は似た形で現れます。それでは一つずつ見ていきましょう。まず生物学的病因とは、人体に有害な細菌・ウイルス・寄生虫・カビなどを指します。物理的病因とは、紫外線・火傷・打撲傷・放射線・電磁波などが含まれます。化学的病因には、酸化剤・酸・アルカリ・毒素・アルコールがあります。そして生体組織の壊死には虚血現象があります。
佐藤恵子 つまり、原因は生物学的・物理的・化学的・組織壊死などさまざまでありうるけれども、最終的な炎症反応は免疫細胞が進めるものだと理解すればよいのですね?
田中博士 はい、そのとおりです。原因の形態がどうであれ、本質は人体を攻撃して個体性を損なおうとするものですから、免疫細胞の立場からは取り除くべき対象になるわけです。
炎症の症状ではなく根本原因を取り除くべき
佐藤恵子 そうすると、原因によって炎症を改善する方法も少しずつ違ってきそうですね。たとえば細菌が侵入したなら細菌を取り除く方法が重要でしょうし、日光の紫外線で炎症が起こるのなら、日光を浴びる時間を減らすといった具合に、方法を変える必要がありそうです。
田中博士 はい。大切なご指摘です。炎症を引き起こす根本原因を解決することが重要なのです。原因がわからないままだと炎症が繰り返し発生してしまいますからね。そして医療界でも、処方される薬の中で炎症の症状だけを抑える薬がもっとも多く使われるもののひとつなのです。たとえば炎症で痛みがひどい場合は鎮痛剤を処方し、ごく激しい場合はモルヒネのような医療用麻薬まで処方します。また炎症で熱が高く出る場合は解熱剤を処方します。しかし鎮痛剤や解熱剤が炎症の原因を取り除くわけではなく、ただ症状を緩和してくれるだけです。鎮痛剤や解熱剤が医療界でもっとも多く使われる薬のひとつであることを考えてみると、食事の抗酸化物質やケトン食を通じた炎症改善は、非常に安全でありながら効果的な方法でありうることがわかります。私は栄養講座をしながら、多くの方々がただ良い食べ物を選ぶだけで炎症が改善されていく様子をたくさん見てきました。そしてその改善のスピードも、私たちが漠然と感じるほど多くの時間を必要とするわけではないこともわかってきました。人それぞれですが、私の経験ではほとんどの方が1週間ほどで炎症の改善・糖尿の改善・血圧の改善などの結果を示していました。
佐藤恵子 ありがとうございます、博士。実は私も中年に入ってから関節があまり調子よくなくて……。だから今日の授業はいっそう関心があります。
田中博士 そうでしたか。ところで、小林先生は今年で82歳でいらっしゃいますよね?
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