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第 10 章

2時限⽬ がんは酸素供給不足によるミトコンドリア機能障害の代謝疾患

田中博士 著 · 🔒 50%無料公開 (続きはプレミアム会員)
0. 0時限⽬ 家族のケト⻝への変化と⽇本のがん現状 1. 1時限⽬ ケトン⻝とがん研究の急増(2012-2021) 2. 2時限⽬ がんは酸素供給不足によるミトコンドリア機能障害の代 3. 3時限⽬ ケトン⻝のがん治癒効果 - 4つの主要研究レビュー

がんは酸素供給がうまくいかず、細胞が酸素なしに炭⽔化物を発酵してエネルギーを⽣成するように変化した代謝疾患である

⽥中博⼠ はい、その通りです。だから今⽇、⻝⽣活を改善することによってがんの治癒に役⽴つことを学ぶのは意味があると思います。これは同時にがんを予防する⻝事でもあります。ケトン⻝のがん治癒改善に対する効果を理解するためには、まずがんとは何かを知る必要があると思います。孫⼦兵法でも『敵を知り⼰を知れば百戦百勝』と⾔いますよね。現代医学では、がんを⾒る観点は⼤きく2つと⾔えます。⼀つはがんとは遺伝⼦が故障したと⾒る⾒解で、もう⼀つは代謝が故障したと解釈するグループです。

最近はがんの代謝的特徴に対する関⼼が⾼まっています。ここで代謝とはエネルギーを⽣成する⽣化学的過程と考えていただければよいでしょう。代謝的観点でがんの最⼤の特徴はミトコンドリアが損傷していることです。皆さん、ミトコンドリアとは何だと⾔いましたか?

鈴⽊美咲(これまでの授業をまとめたノートをめくりながら)はい。ここにありますね。ミトコンドリアは細胞の発電所だとおっしゃいました。細胞1個あたり約200個から300個のミトコンドリアがあるとおっしゃいました。そしてこれらのうち数⼗個が故障しても、細胞は故障した細胞を放置して⽣存し続けることができるとおっしゃいました。オートファジーを通じて故障したミトコンドリアが分解されて再利⽤されると、細胞がきれいになるだけでなく、故障したミトコンドリアから出る活性酸素が減って、さらに健康に役⽴つとおっしゃいました。

⽥中博⼠ そうです。がんとは糖尿病、⾼⾎圧、肥満などにより細胞に酸素がうまく供給されないため、細胞が⽣存しようと酸素なしでもエネルギーを⽣成する細胞に変⾝したものと解釈することもできます。がんの種類は⾮常に多様で、がんごとに損傷した遺伝⼦が異なると⾔われています。さらには、⼀⼈の⼈から発⽣したがんでさえ、それぞれ異なる遺伝⼦が損傷していることもあるということです。このような現象は、それぞれ異なる環境で酸素⽋乏が起き、細胞が⽣存しようとがんに変わったと考えれば理解しやすいです。

⼭⽥佳⼦ それでは、がんを治癒するためにはケトン⻝をどのレベルまで⾏えばよいでしょうか? 炭⽔化物・たんぱく質・脂質の栄養素はどのような⽐率を合わせるべきでしょうか?

⽥中博⼠ はい。重要な質問です。これに対してセイフリード(Seyfried)という研究者は、⾎中ケトン値は4-7mM、⾎糖は55-65mg/dlを維持することを勧めました。この⽐率はケトン⽐4.0で1週間ほどで達成されると⾔います。ケトン⽐4.0で⻝事をすると、ケトン体が1⽇0.3mMずつ上昇し始めます。しかし⼈によって差があるので、初期にはケトン体で1⽇3回測定することを勧めます。その後安定したら測定回数を減らしてもよいでしょう。

FIGURE
図10-3. がん治癒が始まるケトンとブドウ糖の⾎中数値範囲
ケトン⻝事療法開始(10⽇後)から、⾎漿ブドウ糖は7-8mM→2-3mMへ低下し、⾎中ケトン体は0.3mM→4mMへ上昇する。
注:ブドウ糖mMに18を掛けるとmg/dLになる。ケトンmMは10.41を掛けるとmg/dlになる。
[ここに図10-3(時間軸グラフ:ブドウ糖低下とケトン上昇の交差図)を挿入]
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